大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和37年(オ)801号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人松田登米一の上告理由第一点について。

しかし、原判決およびその引用する第一審判決挙示の証拠によれば、所論原審の認定はこれを首肯することができる。論旨は、ひつきよう、原審の適法にした事実の認定を非難するに帰し、採用できない。

同第二点について。

しかし、内縁の当事者でない者であつても、内縁関係に不当な干渉をしてこれを破綻させたものが、不法行為者として損害賠償の責任を負うべきことは当然であつて、原審の確定するところによれば、本件内縁の解消は、生理的現象である被上告人の悪阻による精神的肉体的変化を理解することなく、懶惰であるとか、家風に合わぬなど事を構えて婚家に居づらくし、里方に帰つた被上告人に対しては恥をかかせたと称して婚家に入るを許さなかつた上告人らの言動に原因し、しかも上告人宇八郎は右被上告人の追出にあたり主動的役割を演じたというのであるから、原審が右上告人宇八郎の言動を目して社会観念上許容さるべき限度をこえた内縁関係に対する不当な干渉と認め、これに不法行為責任ありとしたのは相当である。論旨は採用しない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例